来たれ! 暗黒の劇場 月蝕歌劇団に!
君たちの才能を砂糖づけにして
シャンゼリゼ通りで火の車にしてあげよう
(高取英詩集『月蝕歌劇団』白夜都市社、1979年より)
寺山修司のスタッフだった劇作家・高取英によって1985年に創立、翌年2月旗揚げ。
女性中心のキャストであることから ”暗黒の宝塚” とも呼ばれたアングラ劇団。
少女のあやうさと少年の無邪気さを中心に、時空を超えた奇想天外な展開や妖しくも切ない革命劇が特色。
高取英オリジナル作品に加え、寺山修司作品、夢野久作「ドグラ・マグラ」、澁澤龍彦「高丘親王航海記」、沼正三「家畜人ヤプー」など幻想文学系の作品も上演。
また、竹宮惠子「疾風のまつりごと」、ビーパパス・さいとうちほ「少女革命ウテナ」、つげ義春「ねじ式」といったマンガ・アニメ原作を舞台化。「ピーターパン」、「怪盗ルパン」など世界名作シリーズも上演している。
ロシア、スロベニアでの海外公演や、大阪支部〈月蝕歌劇団・水瓶座〉、野外劇や市街劇への参加、喫茶店での公演など活動は多岐に渡る。
2018年11月にそれまでほぼすべての脚本・演出を手がけていた高取英が急逝。
役者であった白永歩美が代表を継ぐ。
2021年11月に一時活動休止前の記念公演をし、活動再開に向け充電期間に入った。
2024年11月、二代目代表白永歩美のオリジナル脚本・演出による実験公演企画〈月蝕歌劇団・蠍座〉が上演される。
初代代表
1952年1月17日、大阪府堺市に生まれる。府立岸和田高校を経て大阪市立大学商学部卒業。
大学在学中に「白夜劇場」を結成。脚本・演出・出演を兼任。そこで上演された「白夜月蝕の少女航海紀」は月蝕歌劇団でも幾度も上演されている。
大学卒業後、寺山修司のスタッフとなり、1977年から1980年まで、『漫画エロジェニカ』三代目編集長を務める。
1980年に演劇団の公演「月蝕歌劇団」(演出・流山児祥)の脚本を書き、本格的に劇作家デビューを果たす。1982年に戯曲「ミカエラ学園漂流記」を書き、代表作となる。高校演劇でも多数上演され、後にアニメ化、自身が小説化、マンガ化、Vシネマ化された。
1986年に劇団「月蝕歌劇団」を旗揚げ。暗黒の宝塚の異名を持つアングラ劇団となり、多数の作品の脚本、演出を手掛ける。
2006年に京都精華大学マンガ学部教授に就任。2014年には大正大学表現学部客員教授として教鞭を取った。
2018年11月26日、虚血性心疾患のため急逝。
劇作だけでなく詩人、評論家としても活躍した。
(撮影: 濱口太)
二代目代表
1991年11月13日、東京都生まれ。女子美術大学卒業。
2003年10月、月蝕歌劇団「愛と誠」(原作・梶原一騎/ながやす巧)早乙女愛の少女時代役で初舞台を踏み、劇団員・役者として活動する。
2012年3月、役者業を休業。
2017年3月、「パノラマ島綺譚」(原作・江戸川乱歩)で月蝕歌劇団に復帰した。
月蝕歌劇団を中心に舞台、ラジオ、映像、ゲーム吹き替えなどに出演している。
2010年から2015年までは都立つばさ総合高等学校の演劇の授業のワークショップ講師を務める。
2018年11月に高取英が急逝したため、それまで伏せていた血縁関係と共に公表した。同年12月の公演にて月蝕歌劇団の継続を発表。二代目代表に就任した。また、初代代表・高取英の著作権と上演権を継ぐ。
2021年11月「白夜月蝕の少女航海紀ー劇場版ー」では、初の単独演出を出演と兼任。
2024年11月に月蝕歌劇団・蠍座公演として自身初のオリジナル脚本・演出による「二千某年のドグラとマグラ」を上演する。
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